5月とは思えないほど暑かったあの日。気温だけでなく、祭典の熱気もあったのかもしれない。
その「あつさ」は、一頭の馬を狂わせるには十分であり、東京優駿史上に残る波乱を演出した。
あの日。スタンドで僕は、叫び、泣き、呆然とした。本命ダノンキングリーは2着。それも、クビ差という僅かの差であった。
ダービーというのは誰もが恋い焦がれるものであり、終わったときには脱け殻のようになる。熱量が強ければ、なおさらだ。
全レースが終わったスタンドには、微かな熱の残りと、夢の残骸があった。
夢の続き。
当たり前だけど、自分よりもダノンキングリーの陣営は悔しかったであろう。
ダービーを勝つという夢は果たせなかった。
でも、G1を勝つチャンスはこれからもある。
まずは毎日王冠。
ダービーから4ヶ月。同じ府中で、今度は王冠を戴き、真の王へと突き進む。
◎ダノンキングリー