昨年、久しぶりに東京競馬場で東京優駿(日本ダービー)を見た。さわやかに薫る風とは裏腹に、充満する熱気と緊張感に、ダービーデイの重みを感じたものだった。
やはりダービーは素晴らしいものだ。ダービーこそ、競馬の祭典だ。
同じように祭りのように盛り上がるものとして、有馬記念がある。ただ、有馬は「イベント」としての盛り上がりだ。
対し、ダービーの盛り上がり、祭りの要素はやや異なる。いわゆる昔から続いている「人智を超えた何か」に対する畏敬と祈願のためになされる「祭り」の要素が、ダービーにはある。
昨年も言ったが、ダービーとは祈りが折り重なって繰り広げられるものなのだろう。一頭の馬が生まれたとき、祈ること。無事に走ってくれ。ダービーに出てくれ。そして、ダービーを勝ってくれ。
その思いが、ダービーに重みを与える。
すべての競馬関係者が憧れるレース。それがダービー。
だからこそ、ダービーの予想は、願いや祈りであって良い。
皐月賞の勝ち方、高速馬場への適性。コントレイルの2冠が濃厚なのは、誰の目にも明らかであろう。
3枠は、内枠有利のイメージと異なりダービーの成績があまり良くない枠であるが(昨年のサートゥルナーリアも3枠)、3枠5番で近年ダービーを好走したのはディープインパクトとオルフェーヴル。つまり、皐月賞馬であり、三冠馬にもなった名馬たちである。三冠馬になりうるポテンシャルを持った同馬からすれば、そして、父がディープインパクトであるならば、3枠というのは好材料に違いない。
ダービーでなければ、自信の本命だった。
だが、このレースはダービーなのだ。自分の祈りを綴るものなのだ。
だから、◎はマイラプソディにする。
自身が主催する「乃木坂競馬部POG」1位指名馬。これは、デビュー前から「ダービーを勝つのはマイラプソディだ」と思ったからだ。
ダービーという舞台に出るのなら、本命を打つのは責務といえる。
少なくとも2歳時は、コントレイル、サリオスと並んで3強といわれていた。
3歳時の敗戦は、緩い感じの同馬にとって、水分の含んだ馬場は堪えたからだろう。
一時雨が降ったとはいえ、良馬場の東京競馬場。鞍上こそデビューから手綱を取ってきた武豊から替わってしまうが、それでも横山典弘なら「なにか」をやってくれそうな雰囲気はある。
異例の火曜日追い切り、馬具の変更。やれることはやってきた。
馬に闘志が戻れば、コントレイルをも倒せる。
序盤の栄光と、その後の挫折、そこからのダービー制覇という英雄譚のラプソディを捧げて祈ろう。あとは、それが実現されるのみだ。
◎マイラプソディ
○コントレイル
▲ワーケア
△サリオス
☆サトノフラッグ
押さえアルジャンナ、ダーリントンホール
コントレイルに関しては、前述の通り。少なくともこの時期なら距離不安で負けることはない。唯一の不安はマークされて抜け出せなくなることだろうが、皐月賞を見る限り、それでも何とかしてしまう可能性は高い。
府中適性で内枠ということを考えればワーケア。
サリオスの皐月賞は丁寧に乗りすぎたのが敗因であろう。100点の騎乗だが、コントレイルが50点か150点かという騎乗をしたものだから、負けた。2400への距離延長自体は良くないが、高速馬場、府中の適性はこちらもあり。ロングスパートで抜け出して勝負を決めれば逆転もある。
弥生賞を勝ち方を見る限り、府中2400mのダービーという舞台でこそ、サトノフラッグの真価は発揮される。枠は外になってしまったが、そこは天才武豊。勝利の旗を立てんかな。
ポテンシャル、枠を考えればアルジャンナも。
それと、府中適性とロングスパート合戦になったときのタフさでダーリントンホールも。
こんなところです。
昨年、東京競馬場でダービーを見ることができて、本当に良かったです。
それが、今年はCOVID-19感染拡大防止のため、無観客競馬に。夢の舞台の場所へ見に行くことすら出来なくなりました。
生まれてきた馬に、様々な関係者に、多くの競馬を支えてくれるファンに、いろいろな人に、何度も言ってきたことでしょう。「ダービーで会いましょう」と。
無観客で行われるダービーは、これで最後になってもらいたいです。
だから、最後はこの言葉で。
「来年、ダービーで会いましょう」