「競馬で勝つには、ロマンなど不要」。
そう言う人はいる。
確かに現実的で合理的な選択をしなければ安定して勝つことなどできないのであろう。
しかし、競馬が人の営みである以上、そして走るのが馬という生き物である以上、どんなに現実的で合理的な選択をしても、「本当に合理的だったのか」という事態はしばしば起こる。想像しにくいアクシデントが生じることがある。人智を超えた「何か」が起こることがある。
そうなる要因のひとつに、人々の「想い」があるというのは間違いないといってよいだろう。夢なり、ロマンなり。
全日本2歳優駿の前日、以下のブログを見た。
地元川崎競馬所属、4戦4勝の無敗で全日本2歳優駿に挑むインペリシャブルを所有する馬主のブログだ。
ブログ中に出てくるラインハルトは、自分もPOGで指名していたし、写真を見たときに「いい馬体をしているな」と思った馬だった。不運が重なりなかなかデビューできず、結果的に死亡したという知ったのは、今年の2月くらいだったか。無事ならクリソベリルにも勝てるのでは、と思わせる馬であったのは事実だ。
ダークリパルサーについても覚えている。2年前の全日本2歳優駿を川崎競馬場で見ていたのもあるし、雰囲気、レース内容ともに良かったからだ。もっと強くなる。レース後にそう感じたのは今でも忘れない。エスポワールシチーの血統を調べている際に亡くなったのを知ったときは、かなり落胆した。ダート競馬を沸かせる存在になれる器だと思っていたから。
ではインペリシャブルについて。
前走鎌倉記念、スタート直後のスピードは、これまで見た馬の中でも出色のものであった。
勝ち時計についていろいろと言われたが、道中のラップに当日の馬場を見れば、むしろ合格点。2着馬アベニンドリームが連闘で北海道2歳優駿を2着したのを考えれば、レースレベルは低くない。
JRA所属馬相手でもやれる。それは間違いない。
枠も4番枠なら問題なし。一気に逃げられる。
ダークリパルサーはエスポワールシチーの弟。ラインハルトはエスポワールシチーの父ゴールドアリュールの産駒。そして、インペリシャブルはエスポワールシチーの仔だ。
馬主の想い。血のロマン。JRAには負けないぞという地元川崎競馬の意地。
こんなブログを見たのなら、本命にしなくてはならないな。
相手はインペリシャブルと同じ川崎競馬高月厩舎のヴァケーション。
結果的に負けはしたが、馬場を考えれば一番強い競馬をし、良い経験を積めたゴールドジュニアー、 馬場も関係なしに圧勝した平和賞。能力に関しては今回出てくるJRA所属馬と互角以上。インペリシャブルが馬の行く気に任せての逃げをうてば、枠を考えるといい展開になる。
高月厩舎でワンツーフィニッシュ。そんなところを見てみたい。
JRA勢だとメイショウテンスイとテイエムサウスダンか。前走ではテイエムサウスダンが先着したが、力量的にはメイショウテンスイな気もする。
ただ、ともに未経験の1600mへの延長をどう考えるか。
アイオライトに関しては、中山1200mを大外枠から勝った馬が川崎1600mの最内枠に変わる、というのは不安でしかない。
そういったJRA勢よりも、むしろ気になるのはゴールドビルダー。非常にレースセンスがある馬。大外枠ではあるが、そこは持ち前のセンスで克服したい。
穴っぽいところだと外枠がよさそうなティーズダンクあたりですかね。
そんなところです。
インペリシャブルの意味は「永遠の不滅」。
その名が永遠に不滅に残るような走りを見せてもらいたい。